東京出店から更なる可能性の拡大へ。ディレクター・多田真文に聞く「HIGHTIDE STORE MIYASHITA PARK」の魅力。

7月28日にオープンした都内初の〈ハイタイド〉の直営店「HIGHTIDE STORE MIYASHITA PARK」。〈ハイタイド〉として新たな試みでもある本プロジェクトにディレクターとして加わったのは、福岡を拠点に編集・企画等を手掛ける制作事務所〈RÉDACTION〉代表・多田真文さん。
共に福岡に拠点をもち、かねてより〈ハイタイド〉と交流のあった多田さんは、本プロジェクトで寄り添いながらも、また新たな視点で強みを捉え、一緒にお店というかたちに落とし込んでくださいました。
そんな多田さんが、東京店ができるまでと今後の構想、そして〈ハイタイド〉ならではの魅力についても語ってくださいました。

多田真文/MASAFUMI TADA

福岡を拠点に編集・制作事務所 RÉDACTIONを主宰。雑誌やWEBメディアなどの編集・企画・制作のほか、新規事業や店舗のコンセプト立案などにわたり活動する。
〈RÉDACTION〉HP Instagram:@re_daction / @massatada

“ハイタイドらしさ”とは何かを考える

ー 都内初の直営店「HIGHTIDE STORE MIYASHITA PARK」が、渋谷にできた商業施設「MIYASHITA PARK」内にオープンしました。多田さんの考えるお店の特徴はどんなところでしょう?

店内の特徴は〈ハイタイド〉のロサンゼルスの店舗「HIGHTIDE STORE DTLA」と同様に、シナ合板の素材を生かして製作した什器で構成されていて、それ自体はとてもシンプルなのですが、そこに並ぶカラーリングやバラエティに富んだ商品が店内を彩っています。
商品は〈ハイタイド〉のオリジナルの文具や雑貨、国内外から買い付けたアイテムを中心に、店舗限定のオリジナルアイテムや店内イベントと連動したアイテムが並んでいます。
また、ストア内には2つの“TINY HOUSE(タイニーハウス)”を設置しました。1つは「HIGHTIDE STORE DTLA」のようにレセプションやレジ機能を兼ねたスタッフと対面型のスタイル。もう1つはゲストが自由に出入りすることができ、そこで開催されるコンセプトディスプレイやワークショップ、アートの展示などを体感できる空間となっています。

「HIGHTIDE STORE MIYASHITA PARK」の様子

ー 「HIGHTIDE STORE MIYASHITA PARK」のコンセプト“TINY HOUSE”は、どのように着想を得たのでしょうか?

私が参画した時には、すでに店内の図面などはある程度進んでいる段階でした。ただ、店内の一部 スペースの使い方を検討されていて、「そこをどうするか?」ということと「ストア全体のコンセプトをどうするか?」というところから入らせてもらったんです。
それと、「“ハイタイドらしさ”ってどういうものだろう?」といった話も挙がっていたので、〈ハイタイド〉というメーカーと〈ハイタイドストア〉というショップとを、分けて考えることから始めてみました。

「HIGHTIDE STORE MIYASHITA PARK」の店内

最初は〈ハイタイド〉のメーカーとしての側面から、取引先の多い東京への出店なので、 “ショールーム”として機能するように自社商品を中心にディスプレイすることで、新しい提案ができるのではと考えていたんです。でも、ショップとしての側面や「MIYASHITA PARK」という場所のことを考えると、お客さんがよりワクワクする何かがほしいと思いはじめました。
〈ハイタイドストア〉が商品をセレクトすることの中には、人気のある商品、メーカーとして推したい商品など、いろんな理由があると思いますが、その中には“好きなものをセレクトする”ということがあると思います。なので、そこに焦点を当てて、それをお客さんにも共感してもらいたいなぁと。それで、自分の好きなものに囲まれて小さな家で暮らすという生活スタイルの“TINY HOUSE”をコンセプトにするのは、どうかなと思ったんです。

※「TINY HOUSE(タイニーハウス)」
小さな家を指す言葉で、1990年後半にアメリカで生まれたという家のかたち。生活様式や価値観が多様化する中、ログハウスや トレーラーハウスなどの小さくてシンプルな家で大切なものや好きなものに囲まれて豊かに暮らすというライフスタイルでもある。

コンセプト作りの背景にある、ロサンゼルスでの記憶

ー 多田さんは〈ハイタイド〉のロサンゼルスの店舗「HIGHTIDE STORE DTLA」にも行かれたことがあるそうですね。どのような経緯で行かれたのですか?

「HIGHTIDE STORE DTLA」の立ち上げから携わっていた〈ハイタイド〉の社員の方とは、福岡のイベントや飲食店などでよく会うことがあり、いつの間にか“福岡の街の友達”になっていました。その方が「今度、ロサンゼルスに店を出すことになったから遊びに来てくださいよ」なんて言うので、「遠慮なく行きますよ」と、さっそくオープンした2018年に様子を見に行ったんです。

ー 素晴らしいフットワークですね!社員でもまだロサンゼルスの店舗に行けていない人が多いんです。「HIGHTIDE STORE DTLA」含め、ロサンゼルスはいかがでしたか?

「HIGHTIDE STORE DTLA」は、「ROW」という商業施設の1階の通りに面したところに入っているんですが、店の中には“小屋”があり、その中にスタッフが立ち、会計をするという感じで、今回のお店作りのベースとなるものは、そこにありました。
滞在中、店に行ったのは1日足らずで、あとはその〈ハイタイド〉の友人の案内でロサンゼルス郊外を車で走りまくり、パームスプリングスからジョシュア・ツリー、そして、砂漠の中でトレーラーや小屋に住んでいる人達がいる街というか集落のようなスラブシティというところを回りました。
こういう楽しさやワクワクを体感してきたこと、あとは〈ハイタイド〉の友人がそうなのか、〈ハイタイド〉全体としてそうなのか、できる限り自分たちで作れるものは作ってしまうという、“D.I.Y.精神”みたいなところを間近に見る機会もあったので、そういった点もコンセプトを考える背景にありました。

ロサンゼルスの店舗「HIGHTIDE STORE DTLA」内にある、レジ機能を備えた小屋

ー なるほど。東京の店舗には、多田さんがロサンゼルスで感じたことなども活かされているのですね。

そうですね。そういったロサンゼルスでの体験もあって、検討中となっていた店内の一部スペースに組立式の什器として、もう1つ“TINY HOUSE(小屋)”を作ってもらいたいということを私から提案と相談をさせてもらいました。さすがに、これはD.I.Y.できないので、制作は「HIGHTIDE STORE DTLA」も担当されたデザイナーのスプモーニさんと施工の牛島木工所さんにお願いしましたが(笑)。
もともと図面にあった小屋はロサンゼルスの店舗のようにレセプションやレジ機能を兼ねたスタッフが中に入るスペースだったので、もう1つはゲストが出入りすることができ、そこで開催されるコンセプトディスプレイやワークショップ、アートの展示などを体感できるようにと。ロサンゼルスのスラブシティにあった、端材などを使って手作りしただろう“小さな図書館”に、恐る恐る入った時の感覚みたいなものを少し気軽に表現したかったのでしょうね。

ストア内に設置される、ゲストが入れる「TINY HOUSE」を制作する様子

その土地に来る人に寄り添った、新たなお土産の提案

ー 「HIGHTIDE STORE MIYASHITA PARK」のオリジナルグッズに関して教えてもらえますか?

ノート、ボールペン、ショッパー、Tシャツ、タンブラーなどがあります。ショップが入っている施設「MIYASHITA PARK」の屋上には、スケートパークやボルタリングウォールなどもある公園となっているので、公園を楽しむ方や、仕事の合間に公園で休憩する方に使ってもらえたらという思いもあります。
また、店名に“MIYASHITA PARK”と入っているので、そのまま店名を使用することで、土地ならではのお土産として楽しんでもらえるかなと。本来なら東京オリンピック2020も実施されていましたしね。自分が旅先で買うお土産の一つに、その土地名などが入ったものを買う傾向にあるからかもしれないです。

ー なるほど。店名に使用した“MIYASHITA PARK”の意味を、深く汲み取って生かしていただけたのは多田さんならではで、ありがたい限りです!ロゴマークやデザイン部分でのこだわりはどんなところでしょうか?

「MIYASHITA PARK」の公園としてのイメージを、カレッジテイストのロゴとスケートボードのピクトグラムでデザインさせてもらいました。あとは企業名〈ハイタイド〉の意味である“満ち潮”のという言葉から波の雰囲気も入れ込みました。
ショッパーは、〈ハイタイド〉のデザイナーさんと一緒にボディから考え、エコバッグとしても、ちょっとした普段使いもできるサイズ感にしてもらいました。あとは、他の商品がカラフルなので、色味を絞ったり、合わせたりして、オリジナルアイテムとして統一感を出しました。

「HIGHTIDE STORE MIYASHITA PARK」のオリジナルグッズ

企業の持ち味を活かしながら、土地と人にフィットする店づくり

ー 同じ福岡に拠点を持つ多田さんから見て、〈ハイタイド〉にはどのようなイメージを持たれていましたか?

福岡市・白金に直営店「HIGHTIDE STORE」を構えられる前までは、ステーショナリーのメーカーとしてのイメージが強かったです。でも、2017年にショップができてからは福岡を中心に国内外の人やブランドなどとイベントやポップアップをされていたので、こういうスタイルのお店なんだなぁと、ショップとしてイメージも強くなりました。

ー そうですね。特に近年はお店を出したり、他社様とコラボレーションをしたり、国内外の方達とイベントを企画するなど、〈ハイタイド〉の活動領域も明らかに広がってきています。ロサンゼルスの店舗もそうですが、福岡の企業が違う土地にお店を出すことに対してどう思われますか?

同じ福岡で生活しているものとしては、嬉しいですし、誇らしいですね。すごいなと思います。出店の順番が、福岡、ロサンゼルス、東京・渋谷というのもインパクトがありますよね。福岡の次がLA!?みたいな。

ー 渋谷への出店は〈ハイタイド〉として新たな試みでもありましだが、今回のプロジェクトに対して特に意識されたことなどはありましたか?

これまで、〈ハイタイド〉が積み上げてこられたものを生かして、渋谷という場所に合ったお店になるようにとは意識していました。企画やコンセプトを考えることもですが、オープンに関する設営など体を動かすことも、そうかなと思っていまして、自分たちでできる限りのことはするというスタイルなので、開業の10日ほど前から一緒に店舗にて準備をしました。荷物の開封から商品のディスプレイはもちろん、カッティングを貼ったり、大工作業をしたりと、そういった手作り感も〈ハイタイド〉の良さだと思いますし、その楽しみながら作業している感じが、お客さんにも伝わるのではないかなと思います。

ゲストが入れる「TINY HOUSE」内ではオープニングイベントとして、アーティスト・佐々木亮平さんの展示を開催

ー 最後に、今後のお店のあり方についてディレクターとしての想いやビジョンがあれば教えてください。

「HIGHTIDE STORE MIYASHITA PARK」の企画に関しては、年内のイベントは開業年ということもあり、福岡に縁のある企画を予定しています。移動がしにくい状況も続いている中で、福岡のカルチャーを少しずつイベントごとに東京で感じてもらいたいです。その後は、これまで〈ハイタイド〉が取り組まれてきたように国内外の様々な企画も組んでショップに動きをつけていきたいですね。
あと、8月7日には福岡空港内に、福岡でショップを営んだり様々な企画をされたりする”ジョニーさん”こと山下宗孝さんが一部商品開発などのディレクションとして関わった「HIGHTIDE STORE FUKUOKA AIRPORT」がオープンしました。〈ハイタイドストア〉としての大きな枠組みは同じなのですが、東京店とはまた違うエッセンスがあるので、出店された土地や場所で、そこを訪れる方にとって最適な場所になってもらえたらと思います。

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