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2020.7.28 Tue / HIGHTIDE STORE Miyashita Park

企画展「TINY DWELL」開催。アーティスト・佐々木亮平へインタビュー

都内初となるハイタイドの直営店「HIGHTIDE STORE MIYASHITA PARK」のオープンに合わせ、アーティスト・佐々木亮平さんとの企画展を7月28日(火)〜8月30日(日)に開催。
ハイタイドと同じく“福岡”を拠点に活動する佐々木さん。今回は佐々木さんの作業部屋にお邪魔して、普段の制作スタイルから、本企画の魅力、さらには福岡の土地に活かされていることなど、幅広くお話を伺いました。

佐々木亮平/RYOHEI SASAKI

1985年⽣まれ、福岡県出⾝。2007 年よりライブペインターとして福岡を拠点に活動開始。⽯や岩、⽔など⽇常的な⾃然物をモチーフにし版画の様に⾒える⼿書きの作品が特徴的。2013 年開催のLIVEPAINTING DOJOにてkaikaikikiよりGEISAI 賞を受賞。その後東京都での個展開催や、雑誌「THE DAY」や「BEAMS 原宿」へファッションアイテムのデザインを提供するなど活動の幅を広げている。

両者の共通点“福岡”が繋いだ、念願のコラボレーション

ー はじめに、今回コラボレーションをするに至った経緯を教えていただけますか?

僕の拠点もハイタイドの本社も同じ福岡で、ハイタイドの方々とは元々共通の知人を介して交流があったんです。今回展示させていただく「HIGHTIDE STORE MIYASHITA PARK」でディレクターをしている福岡在住の編集者・多田さんは、2019年に福岡の「UNION SODA」で開催した個展を手伝ってくださっていて。その時からハイタイドの方とも多田さんとも「いつか何か一緒にできたらいいね」という話はしていました。でも、まさかこんなかたちで実現するなんて。

ー …というと、佐々木さんは今回オファーを受けた際、どのように思われたんでしょう?

嬉しかったです!でも、正直少し戸惑ったというか。ハイタイドといえば“ものづくり”のイメージが強かったので、コラボするといってもてっきり何かグッズを作るものかと思っていたんです。知り合った当初もそういった話でしたし。だから、まさか東京のお店で自分の展示ができるのは想像していなくて。
でも、同じ福岡の企業で、しかもかっこいい文房具を手掛けるハイタイドと一緒にコラボレーションできると聞いて、迷いなくやりたいと思いましたね。

展覧会「DAY PATH NOLING / 習慣の形骸」(2019年)会場:「UNION SODA」

ー 今回の企画「TINY DWELL」はアメリカの西海岸をイメージしているとのことですが、どのようにテーマを決めたのですか?

お話をいただいた当初は、僕が普段から描いている石や庭木などの自然をモチーフに展示をしようと考えていたんです。でも、お店のコンセプトを聞いて、1人のハイタイド社員の方とのエピソードが思い浮かびました。その方は、ロサンゼルスの店舗「HIGHTIDE STORE DTLA」に勤務していて、以前一時帰国した際に僕の作品を直接見ていただく機会がありました。その時に聞いたアメリカ・西海岸の話が強く印象残っていて。僕は実際にはアメリカには行ったことがないんですけど、その方と話した時に感じたサンフランシスコの景色をかたちにしてみたいと思いました。

ー なるほど。では、佐々木さんにとって今回の作品は、今までとは少し違ったチャレンジングな内容になっているということでしょうか?

そうですね。でも、行ったことのないサンフランシスコをそのまま表現するというよりかは、何か身の回りで関連性を探りたいと思ったんです。
例えば、僕はサンフランシスコに「坂道」のイメージがあって、僕の地元も坂が多い地域なんです。実際に地元の坂を巡ってみて「坂道の途中の家」をテーマに描きたいなと思いました。坂道に建ってる家って、斜めの道にまっすぐ建ってるから、もし道がまっすぐになったら家が斜めになっちゃうんじゃないかなって考えるとちょっと面白いなと思って。
もう1つは、家の前にマキの木を描きました。木の種類は違うかもしれないけど、海外の家にも庭木はある。そこをあえて日本っぽい木だったり、僕の作風とミックスすることで、海外の人がこれを見てどう感じるのか?というのにも興味があります。

佐々木さんが描いたマキの木

ー 佐々木さんといえば、版画にも見える緻密な絵が特徴的ですが、どのように作業されているのですか?

今は自宅の部屋を作業部屋にしています。決まったサイズの紙があって、絵の線はガラスペンを使って描いています。ペンを立てて描く場合もあれば、寝かせてベタ塗りのようにして描いたり、もう長いことガラスペンを使っているので、愛着もあるし自分の手に馴染んでいる感覚です。一発勝負で集中して描くので、あまり時間もかけません。
あとは、今回の展示作品の中にシルクスクリーン印刷を使った作品があるのですが、これはもう地道な作業の繰り返しで。机の上で刷って、版を洗って、乾かして、を100回くらい繰り返しました。これが1番大変な作業でしたね(笑)。

佐々木さんが実際に普段使っているガラスペン

ー 今回は作品展示だけではなく、様々なグッズ制作にも取り組みましたね。制作する過程で何か感じたことや気をつけたことなどはありましたか?

グッズにするからといって特に制作スタイルを変えることはしませんでした。〈ハイタイド〉の方も元々僕の作風を知ってくださっていましたし、ハイタイドのセンスに任せればいいものが出来上がると思っていたので、僕は作品作りに没頭して、グッズに落とし込むところはお任せしようと思っていました。

ー そこまで信頼いただけるのはハイタイドとしても嬉しいことですね。実際に出来上がったグッズはいかがでしょうか?

とても満足しています!既にノートを使っているんですけど、手に馴染むサイズ感がちょうどいいんですよね。だんだん使用感が出てきて、それもまた気にいっています。あと、今回は量産ができなかったのですが、多様布もすごく気に入っています。早速今度キャンプに行く時に持っていく予定です。自分では思ってもみなかったものが出来上がったので、それがすごく嬉しかったですし、作ってよかったなと思っています。みなさんにも気に入っていただけると嬉しいです。

今回の企画展に向けてコラボレーション制作したグッズ

身の回りのものに視点をむけて、堂々と描く

ー 佐々木さんはご出身の福岡で活動されてますが、制作を始めるきっかけとは何だったのでしょうか?

小さい頃から見たものを模写するのが好きでした。家に遊びにきた親戚のお兄ちゃんがドラゴンボールを描いているのをじっと見て、それに影響を受けて僕もドラゴンボールを描いたりしていましたね。それからずっと絵は描いていたんですけど、描いたものが溜まるばかりでそれを展示をしようとか、作品として売ろうとは全く考えていなかったです。むしろちょっと抵抗があったくらいで。自分の絵がなくなるのは寂しいというか。

ー では1番最初の個展はどのような経緯でされたのですか?

2013年くらいにライブペイントがすごく流行った時期があって、クラブに集まって6、7人くらいが同時にライブペイントするイベントがあったんです。僕もたまに参加していて、そこで福岡に限らずいろんなアーティストと知り合う機会が増えました。その繋がりで、東京で参加したライブペイントの大会で運よく賞をいただいて、そこでギャラリーの人に声をかけてもらって、東京で初個展をすることになりました。

ー 最初の個展は東京だったんですね。その頃から今の作風でしたか?

当時も今も細かい絵と模写が好きというのは根っこの部分にはあったと思います。でも、今思えば当時は、無い物ねだりをしていた時期で。例えば、ライブペイントはインパクトがあって抽象的な絵の方がうけると思うんですけど、いざ自分がそれに取り組もうと思ったら散漫になってしまって。ないものを想像して描くのが辛い時期があったんです。ちょうどその時に東京に移住しようかなとかも考えていたんですけど、結局できなくて。描くのを一旦やめた時期がありました。

そうなった時に不思議なんですけど、ふと“外国人が日本を見るような感覚”で日本を見れた瞬間があったんです。身近にあるマキの木も丸く剪定してて可愛いけど少し変だなとか、今まで目を向けていなかったものに気がつけるようになったというか。それからは、身の回りで描けるものを探そうと思うようになりました。絵のムーブメントにとらわれず、自分なりのスタイルで細かい線でも堂々とディティールを描きたいと思いました。

自分の生活に即した絵を描いていく

ー 今後の活動に関して何かやってみたいことなどあれば教えてください。

福岡に限らず、違う土地を訪れて、その環境でものを作るというのができればと思っています。国内に限らず海外でも。
あとは、絵だけでなく、立体物も作ってみたいです。友人の実家が大分県で陶芸をしていて、最近はそこに定期的にお邪魔して、5日間くらい泊まり込みで制作しています。物は触れるし、絵とはまた違う面白さがあります。手を使って作ることで、ディティール表現できる限界みたいなのを楽しみながら、色々模索している最中です。

ー そういった意味では、ご出身の福岡に特にこだわりがあるわけではないようですね。福岡に住んで、何か活かされていると思うことはありますか?

めちゃくちゃあります。活かされてることしかないかもしれない。住みやすいとか友達がいるとかいろんな理由はあるんですが、どう動けばいいかの勝手が分かるし、行きたい時に行きたい所にすぐに行けるというのは大きいです。でも、おっしゃる通りすごく福岡にこだわりがあるわけではない。1つ言えるのは、僕は「自分の生活に即した絵」を描きたいと思っています。東京に拠点を移そうとか色々考えた時期もありましたが、結果残ってよかったなと思っています。

佐々木さんが最近作った立体作品

―最後に佐々木さんなりの今回の展示の魅力を教えていただけますか?

自分が海外に憧れても、実際には現地に行ったことがないし、経験がない。だからこそ、自分の想像で補える部分があると思っています。今回の制作過程のように、自分の住んでる地域の坂道と照らし合わせてみるとか、それが新しいかたちになって色んな気付きを与えてくれる。今回の企画を通して、自分なりのサンフランシスコの空気感を感じてくれたらいいなと思います。

TINY DWELL

会期:2020年7月28日(火)〜8月30日(日)
会場:HIGHTIDE STORE MIYASHITA PARK
住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-20-10 MIYASHITA PARK South 2F
営業時間:11:00~21:00
TEL:03-6450-6203(店舗)

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