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2020.11.11 Wed / HIGHTIDE STORE Miyashita Park

写真展『INSIDE OUT』開催。フォトグラファー・河原諒子へインタビュー

東京・渋谷にあるハイタイドの直営店「HIGHTIDE STORE MIYASHITA PARK」では、福岡を拠点に活動するフォトグラファー・河原諒子さんの写真展を11月14日(土)〜12月16日(水)に開催。今年外出自粛が求められ、環境が一変したことで、新たな心境の変化や気づきがあったと話す河原さん。今回は自粛中に手掛けた作品についてや、河原さんが普段制作する上で大切にしていること、今後の展望に至るまで、幅広くお話を伺いました。

河原諒子/RYOKO KAWAHARA

1988年神奈川県横浜生まれ。2011年より福岡在住。 アパレル勤務などを経て、広告カメラマンのアシスタントとして勤務。 2019年4月より独立。現在 は福岡を拠点に広告・ファッションなどの商業写真を中心に活動中。
2018年Stereo Coffee(福岡)にて初個展『Around Saram』、2019年kit gallery(東京)、2020年3月六本松蔦屋書店(福岡)にて写真展『ALONGSIDE』を実施。
kawahararyoko.com

制限されたことで生まれた、新たな試み

ー 今回の展示のタイトル「INSIDE OUT」について教えていただけますか?

タイトルの「INSIDE OUT」はその名の通り“INSIDE=中”と“OUT=外”なんですが、今回この企画のお話をいただいたすぐ後くらいにコロナが流行してしまって、なかなか外に撮影にいけないという状況がありました。そんな時にせっかくなら家の中にある物を撮ってみようと思い、室内でブツ撮りをメインに制作したのが“INSIDE=中”です。逆に“OUT=外”は、外に出かけたり旅行をしたりする中で撮った過去の作品なども織り交ぜて、2つのテーマで構成しています。

ー 河原さんの普段の撮影スタイルとして、どこかに出かけて撮影されることが多いのでしょうか?

仕事以外はどこか別の土地に出かけて撮ることがほとんどです。私は自分の中で写真を撮るモードにスイッチを切り替えてから撮ることが多いので、初めて見るものが多かったり、日常を忘れられるようなところに行って撮影します。国内に限らず海外など撮影ありきで旅先を選んだりもしますし、どこに行くでも必ずカメラは持っていきますね。

ー そう考えると、今回の“INSIDE=中”のパートは河原さんにとって普段とは違う新たな試みになったのでしょうか?

そうですね。今までは外で出会ったものを衝動的に撮ることが多くて、外のものを借りてきて撮らせてもらう“借りもの競争”みたいな感覚が常にあったんです。
2018年に「Stereo Coffee(福岡)」で開催した「韓国」をテーマにした写真展『Around Saram』の時に2枚ほど室内でブツ撮りした作品を発表したのですが、その時は福岡県の東区の海岸に流れ着いた韓国製のボトルや箱など、いわいる“ゴミ”を拾い集めて作品を作りました。一見ただのゴミなんですが、海を超えて福岡に来たと思うとなんだか可愛く思えて、“ようこそ”の意味を込めてハワイでいう “レイ”みたいに歓迎の装飾を施して撮影しました。ブツ撮りに取り組むのはこの時以来ですし、今回は自分で1からコンセプトを考えて、何をどう撮るかを考えるところから始めたので、なんだか恥ずかしい気持ちもあります(笑)。

写真展『Around Saram』(2018年) 会場:「Stereo Coffee(福岡)」

様々な二面性が織りなす展示構成

ー メインビジュアルには2枚の写真が使用されていますが、これらは具体的にどのような過程で生まれた作品なのでしょうか?

“INSIDE=中”の写真は、自粛期間中に家でお香を焚くことが多くなって、その時に使用していたライターを被写体にしています。コロナの前は外に出ていることが多かったので、あまり家の中を快適にしようとか自分の持ち物について考えることがなかったんです。でも家にいる時間が長くなって、よく考えたら思入れのあるものやお世話になっているものがあるなって気がつく機会が増えました。
それと、コロナ中に唯一頻繁に会っていた韓国人の友達がいて、お互いどこも行けなくて暇だから、よく私の家に集まって明け方まで2人で話して、朝仮眠をとって帰っていくみたいなルーティンができていたんです。その子はもう韓国に帰っちゃったんですけど、このライターにはその子と一緒に過ごした思い出も詰まっています。水をかぶせたのは、何となく先が見えずぼんやりとしている外出自粛中の心境を自分なりに表現しました。
“OUT=外”の写真は、まだコロナが広まる前の1月に家族と旅行で訪れた箱根で撮った写真です。どちらも“水”の共通点があったり、自分なりの思入れもあってこの2枚をメインに選びました。

本企画のメインビジュアル

ー 展示スペース・タイニーハウス(小屋)の空間はどのような構成になるのでしょうか?

まず “小屋”という会場の作り自体が面白いので、よくあるホワイトキューブでの展示とは違ってデコレーションしたり、映像を流したり、いい意味で綺麗におさまりすぎない見せ方ができたらなと思っています。展示作品に“INSIDE=中”と“OUT=外”の対比があるように、動と静、カラーとモノクロ、みたいにいろんな二面性も織り交ぜて世界観が作れればと思っています。

ー アパレルやポスターなど様々なグッズを一緒に作らせていただきましたが、ハイタイドとのアイテム作りで何か意識したことや、こだわった部分はどんなところでしょうか?

今までは自分が欲しいか欲しくないかを重視しながら自分でできる範囲のものを作っていたので、今回ハイタイドさんに様々な意見をもらいながら、一緒に取り組んだからこそ形になったものがたくさんあるので本当にありがたかったです。グッズに使用した作品も、特に“INSIDE=中”の方は今までとはまた違うテイストになっているので、新鮮に感じられてとても嬉しいです。

今回発売するのグッズの一部

自分の基盤を整え、いつでも力が出せるように

ー コロナの影響で実質的な環境の変化があったからこそ、今回の作品たちが生まれたともいえるのだと思いますが、河原さん自身の変化はどのようなものがありましたか?

一番大きく変わったのは、自分を甘やかせられるようになったことです。仕事も遊びも何かとずっと目まぐるしく過ごしていたのが強制的に全部ストップしたので、最初は戸惑いもあったんですけど、外じゃない内の生活の楽しさをすごく感じることができました。それと同時に、忙しすぎず自分のペースを保つことで、自分の気持ちの変化を冷静に見られるようになったり、いろんなことを想像できる時間も生まれて、考え方が寛容になった気がします。

ー 河原さんといえば、福岡のアーティストの写真を撮られていたり、ご自身もDJをやられていたりと音楽やカルチャーシーンを盛り上げている1人としても印象があります。河原さんにからみて、福岡はどんな街ですか?

私はもともと地元が福岡ではなくて、以前関東で勤めていた会社の転勤をキッカケに福岡に来てから、もう9年くらい住んでいます。福岡は東京と違って街自体もコンパクトなので、人との距離が近かったり繋がりが強かったりはするんですが、いい意味でみんな孤立してる人が多いと思うんです。みんな仲が良いし知り合いだけれど、どこか1つのフィールドにどっぷり浸かるというよりかは、みんなそれぞれ色んなところに顔を出して、約束はしなくてもどこかに行ったら誰かに会えるみたいな感覚があります。バラバラ感があるのにどこか繋がっている安心感が、心地いいなと思います。

ー 最後に今後の活動における展望があれば教えてください。

自粛期間があったからこそ新しいことに挑戦して気がつけたことも多くて、やっぱり私は外に出かけてワクワクしながら写真を撮りたいし、“借りもの競争”みたいな感覚で撮るスタイルがすごく楽しいんだと改めて感じます。自分の好きな人たちと何か面白いことができたら最高だし、そのために自分のスキルや感性を常に潤して、いつでも力が発揮できる基盤を整えておきたいなと思っています。

RYOKO KAWAHARA EXHIISION 『INSIDE OUT』

会期:11月14日(土)〜12月16日(水)
会場:HIGHTIDE STORE MIYASHITA PARK
住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-20-10 MIYASHITA PARK South 2F
営業時間:11:00~21:00
TEL:03-6450-6203(店舗)

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