第一話
空間そのものはある種平等で、
みんな楽しむことができる。
王寺 彰人 | Blumo
ヨーロッパのヴィンテージベースをはじめ、オリジナルで製作した銅製の鉢・樹脂で作られた花器や国内外のアーティストの作品など、花や植物といった自然物をより楽しむことの出来るプロダクトやインテリアを展開。人工物と自然物のバランスを意識した、居心地の良い空間作りを提案している。また、空間装飾やスタイリングなどのヴィジュアルワークも行なっている。
高校生の頃は、服オタクだった。
まずアメリカの古着にハマり、その後はインポートやドメスティックのブランドなど、いろんな格好をしてきた。
誰でもそうかもしれないけれど、当時の自分はコンプレックスの多い人間だった。ただ好きな服を着ることで、人は変わる。魅力は増す。コンプレックスを服で紛らせている。若い頃は、それが強かったように思う。
写真にも興味を持つようになったのはそこからだ。構図にとくに目が行く。構図が美しいと、素敵な写真だなと思うことが多い。
ファッションに夢中だった自分は、スタイリストアシスタントの仕事をした。ただなんだろう、やっていくうちにどうしてもファッションは、体型や年齢やジェンダーなど、もともと生まれ持った素質に大きく左右される、自由度の低さがあるなと感じるようになった。それに対してインテリアとか建築とか、空間そのものはある種平等で、みんな楽しむことができる。そこに惹かれ、インテリアのほうに面白みを感じるようになってきた。
というわけで、空間装飾やインテリアの仕事がしたくて、ディスプレイの業務がある会社に勤めることに。
ディスプレイは、ひとつのオブジェクトに対し、いろいろなプロットを集めることで、バランスをとっていく。人が居心地いいと感じる空間を作っていく。
直感的な部分と論理的な部分があるけれど、いずれもなんとなく置いているわけではない。仕事をしながら、そのルールを叩き込まれた。やっている時はそのルールが多すぎて、窮屈に感じることもけっこうあった。
だけどその後自分でお店をやることになって、あの頃の経験が活かされていると感じる。商品を並べるたび、ルールが頭をよぎる。それはいくら時代が変わっても変わらないもので、それを感じつつ、考えつつ、崩して、はみ出していく。
それには、どんな環境で生まれ、どういう時代を経て、何を見てきたか。自分自身のパーソナリティが反映される。