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第二話
あるものを組み合わせるほうが得意。
だからこそ作り手を尊敬する。
自己から逃れたいと思うことがあるせいか、美しいものに囲まれていたいという欲求はある。
もちろん、何を美しいとするかは人それぞれだと思うけれど、自分が直感的にいいなと思った後、まず見るのはマテリアル。これって何でできているんだろう?と、思わず気になってしまう。
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あとは、作り手の思いや世界観。そこに情熱だったり、ロマンだったりが滲み出ているものほど、惹かれるように思う。
ただそのものの単体で見るというより、全体で広く見ていることのほうが多い。どんな空間に置くとマッチするか、こんなラグがあって、こんなカーテンがあって、こんなテーブルに置くとどうなるだろう、なんて想像をする。
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以前、花の仕事をしていたこともあるのだけれど、それとも少し近い気がする。花自体はすでに存在していて、あとどう組み合わせるか構成を考える、というような。
つくづく、自分は0から1を生み出す人間ではないと感じる。真っ白なキャンバスを渡されても、あまり何かを書きたいとは思わない。それよりも、すでにあるものを組み合わせて、1を2とかにしていくほうが得意。だからこそ作り手を尊敬する。アーティストの人の作品を見て、やっぱり自分にはできないと思うから。
自分が得意なことを不得意な人が居て、自分が不得意なことを得意な人が居る。
人にはそれぞれ違う役割があると思っている。
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そもそも。主観的に何かを突き詰めるというより、わりと客観視するタイプだ。さまざまな情報を一応把握した上で、ニーズがあるかどうかみたいなことを、どこかで考えている。これ好きな人もいれば、嫌いな人もいるだろうなとか、これは売りやすいなとか。勝手に、無意識的に判断してしまう。
なので、完全に自分の主観で走っている人を見ると、ちょっと羨ましい。
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