LOVE SOME STORY

第三話

自分がとにかくただただ楽しく、
バカみたいに生きられればいい。

子どもの頃からわからないことがあると、何かと疑って生きてきた。そうするうちに、だんだん答えが出てきた。社会的権威みたいな人に、人生とはこうだとかああだとか言われても、それはボツだな、その考えもボツだな、なんてどんどんどんどん捨てていったら、ほとんどが捨てるものだった。

今、感じているのは「楽しさは伝染る」ということ。自分が気持ちがいいっていう感じで生きていると、それが人にも伝染していって、結果的に人が集まってきて、なんかその派生で結果として、モノが売れていくとか。

だからモノを売ったり、たくさんの人と繋がっていくには、変に商売だからこうしなきゃとかじゃなくて、自分がとにかくただただ楽しく、バカみたいに生きられればいいんじゃないかと。もうそれに尽きるんじゃないかなと、そう勝手に思っている。

うちは、モノに値段をつけていない。

お客さんとのやりとりの中で「このぐらいでどうかな?」とか値段を決めてやる方が、いいんじゃないかと思っている。ただ価値の持ち方は人それぞれで、そうするとモノを選べない人たちもいる。

漠然とボーンと野に放たれたモノの中から「今の気分だし」とか「なんとなく色がきれいだし」で選べばいいだけなのが、値段がわからないから、何に使うかわからないからと、手がかりが欲しくて、混乱している。

だけどぼくは、そういう価値観を粉々にして、ゼロに戻る瞬間が大事なんじゃないかなと思っている。

人生っていうのは、本当はただ、自分が感動する瞬間。きれいな歌が聞こえてきたなとか、そういう日々の積み重ねを、いつも大事にして生きているほうが、楽しいんじゃないかって。

そこからが、スタートなんじゃないかなって。

PROFILE

小林 眞 | Out of museum

1960年長野県生まれ。2018年にアトリエ兼ギャラリーショップ「out of museum」をオープン。

INSTAGRAM