第一話
この業界はそんなに長くないけれど、
のめり込みぶりは誰にも負けない。
郷古 隆洋 | Swimsuit Department代表
ユナイテッドアローズ、ランドスケーププロダクツを経て2010年にSwimsuit Department設立。ヴィンテージ雑貨などを販売する「BATHHOUSE」を運営。店舗のインテリアコーディネートなども手がける。
僕はもうそれしか能がないというぐらい、子どもの頃から高校大学、社会人になってからも、ずっとバスケットばかりやってきた人生だった。
20代後半の頃、ようやく興味を持ち始めたのがファッションで、そこから「ユナイテッドアローズ」に入って6年くらい、その後「プレイマウンテン」というインテリアショップで4年ほど働き、独立してからは13年。
今年50になる僕は、まわりからは「先輩」と言われることが多くなってきたけれど、この業界に入ってからは、実はそんなに長くない。
ただそののめり込みぶりは、誰にも負けない。というと大げさかもしれないけれど、何かひとつのことに興味を持つと、ガッと掘っていくところがあった。
アメリカの古い家具から始まって、北欧の陶器やガラス、中南米のフォークアート、ここ最近は焼きものや郷土玩具など、日本の手仕事系に興味が移っている。
ずっと海外を回ってきて今思うのは、日本ってこんなに狭い国なのに、まだまだものがたくさんあるなぁ、ということ。
これがメキシコのフォークアートだと、ディーラーのとこに行ったり、あと古本を何冊か見たりするとだいたい網羅できるのだけど、郷土玩具の場合。コレクターとしては1000や2000じゃ少ないね、となり、1〜2万は持っていないと話にならず、全部だとおそらく3〜4万じゃきかないぐらいの種類があるんじゃないかと思う。
これまでも相当いろいろ見てきているけれど、いまだに骨董市などに行くと「まだこんなに素晴らしいものがあるんだ!」と思えるような、手仕事ものに出合えることがある。
そのためにも知ることはいっぱいあるし、まだまだ日本は堀りがいがあるなと思う。