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第一話
偏っていても好きなものは好き。
それを、ちゃんと言語化すること。
松尾由貴 | YUKI & DAUGHTERS
架空のグロッサリーショップ「YUKI & DAUGHTERS(ユキ&ドーターズ)」主宰。「ALL YOU CAN EAT PRESS」という屋号でニューヨークのドーナッツやハンバーガーなどローカルフードを紹介するハンドマップも制作。編集者、アーティスト、スタイリスト、デザイナーなどその活動は多岐にわたる。
ぜんぶつながっていた。着る洋服も、家の中に何を置くかも、どんな音楽を聴くかも。
「オリーブ」という雑誌でスタイリストをしていた頃。とくにジャンルが決まっていたわけではなく、ファッションからインテリアまで、分け隔てなくどんな仕事もやった。なぜならこんな洋服を着て、こんな家の中で、こんな暮らしをして……というイメージがちゃんとあったから。そう、結局はぜんぶつながっている。私はここで、そういうものの見方を育ててもらったような気がする。
教わったのは、偏っていても好きなものは好き、と言うこと。それをまわりに伝えるために、ちゃんと言語化をすること。雑貨の撮影をして、その写真に入れるキャプションも、インフォメーションだけでは終わらせず、どこがいいのかのポイントを、スタイリストが書くのが当たり前だった。たとえばこのカップであれば、ただプリントのかわいさだけじゃなくて、持った時の指の納まりとか、そういうことも。
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ただ仕事として自分が好きなものや、個人的にいいなと思うことと、それを誌面で伝えることは、ちょっと違うなと思うことも、同時にあった。朝食のテーブルを作るとなれば、海外の雑誌さながら、そこにはエビアンの水と、英字新聞を置いた。
そうしていくうちに、ふと疑問が湧いた。これらのアルファベットが日常にあると、どんな感じなのだろう。私はいったい、どう思うのだろう。それが海外に行きたいと考えた、ひとつのきっかけとなった。
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そして私は、ニューヨークへと旅立った。
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